検査詳細
理学的検査
医師診察
視診・触診・聴診などの多角的検査です。
その他、問診票に沿った既往歴・家族歴等も確認させていただきます。
身体検査
身体計測(身長・体重・腹囲・BMI)
身長が病気に関係することはありませんが、体重との割合は血液と血管、内臓に大きく影響しています。
体重が多いと長期的に病気になるリスクが高まります。
BMIは、肥満度を表す国際基準で、日本人の場合、一般的に18.5~24.5が普通とされています。
血圧計測
血圧は肥満気味の人や年齢によって、その範囲に多少の個人差がでます。
一般的に、上(収縮期)が140㎜Hg以上、下(拡張期)が90㎜Hg以上の方を高血圧と診断されます。
診断する医師・施設によって多少前後する場合があります。
血圧は、運動後や興奮・緊張状態でも上昇し日常生活の様々な影響を受けて常に変動します。
定期的な血圧測定を実施しない限り正確な血圧値がわかりません。
一般的には、起床直後の血圧値が最も高いという人が多いようです。
尿検査
蛋白定性
血液中の蛋白は腎臓でろ過されます。99%以上は、尿細管で再吸収されて血液中に戻り、1%程度が尿中に排泄されます。
このタンパク質がどれだけ尿中に漏れ出ているかを調べる検査です。
陽性の場合に腎炎、膀胱炎、尿路結石、妊娠中毒症などの疾患の疑いがあります。
運動・食事・入浴・ストレスなどによっても陽性となることがあります。
糖定性
血液中に含まれるブドウ糖を血糖といい、このブドウ糖が尿中に漏れ出てきたものが尿糖です。
体に異常が起きていると、血糖値が一定限度を超えたときに分解や再吸収が間に合わず、ブドウ糖が尿中に出てしまいます。
この代表例が糖尿病で、予備軍を含めると1600万人以上いると考えられて追います。
潜血
血液に存在する赤血球中のヘモグロビンが尿中に存在するかどうかを調べます。
腎臓・前立腺・膠原病等の疾患で陽性となります。
比重
腎臓での尿の濃縮力を調べます。尿は、体内で余分な水分のほかに体内の老廃物が含まれている為、水よりもやや比重が高くなります。
比重により糖尿病、脱水(嘔吐、下痢、発汗、発熱など)や尿崩症、腎炎、腎不全などが考えられます。
沈渣
尿中の有形成分(細胞や血球、細菌等)を顕微鏡で調べます。腎臓や泌尿器系疾患の診断、観察などの為に行います。
pH
尿の酸性・アルカリ性を調べます。
ウロビリノーゲン
ビリルビンが腸に排泄され、腸内細菌によって分解されたものがウロビリノーゲンです。
急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、薬剤性肝障害などで陽性、閉塞性胆道疾患(胆石症、胆道癌)、抗生物質投与などで陰性となります。
血液学的検査
赤血球数
赤血球は血液の主な細胞成分で酸素を肺から各組織に運びます。貧血の有無を調べます。
白血球数
白血球は感染をくい止める働きを持った血液細胞です。感染症や血液疾患の有無を調べます。
赤血球恒数
赤血球の大きさ、赤血球に含まれるヘモグロビンの量を調べる検査です。
MCH(平均赤血球血色素量)、MCV(平均赤血球容積)、MCHC(平均赤血球血色素濃度)を検査し、貧血の種類を推測します。
血小板数
怪我をしたときなどの出血を止める役割を持つ血液成分の1種です。慢性骨髄性白血病、申請多血症、原発性血小板増加症、急性白血病、再生不良性貧血などを疑うことができます。
血色素量(ヘモグロビン)
赤血球に含まれている蛋白の一種で血の赤さの元です。ヘモグロビンが酸素を運ぶので血色素量を検査することで貧血かどうかを判断します。
ヘマトクリット
血液中に占める容積の割合を意味し、基準値より低い場合、「血が薄い」状態で貧血が怒りやすくなります。割合が低い場合、鉄欠乏性貧血、再生不良性貧血、溶血性貧血、出血原因貧血などを疑うことが出来る。割合が高い場合は、多血症などを疑うことが出来る。
血液像(白血球分画)
一般に白血球といっているのは、5種類の重要な白血球(好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球)を総称しているもので、これを白血球分画といいます。
正常な状態のときはそれぞれの占める割合が一定範囲に保たれていますが、体に何らかの異常が発生するとお互いの比率に変化が現れます。
分画の増減により感染症、炎症、外傷、白血病などを疑うことができます。
生化学的検査
AST(GOT)
肝臓、心筋、骨格筋に多く含まれている酵素です。肝障害、心筋梗塞、筋疾患で高値を示します。
ALT(GPT)
肝細胞に多く含まれている酵素で肝細胞の障害(破壊)を反映し、肝炎、肝硬変、肝腫瘍などで高値をを示します。
AST(GOT)とALT(GPT)の比を取ることにより各種肝疾患のおおよその鑑別が出来ます。
γ-GTP(γ-GT)
アルコールや薬物は、酵素誘導作用があり肝内のγ-GTPタンパク質を増加させます。脂肪肝、胆汁うっ滞時(胆汁の流れが減少または停止している状態)や閉塞性黄疸、アルコール性肝障害で高値を示します。
総蛋白
血清の中の蛋白の総称で主な成分はアルブミンとグロブリンです。高値の場合は、脱水症によるアルブミン増加を除けばグロブリンの増加が疑われ、低値は、アルブミンの減少が疑われます。
アルブミン
肝臓のみで生成され、肝臓に異常があると減少します。また体外への漏出(ネフローゼ症候群、蛋白漏出性胃腸症など)や代謝亢進(甲状腺機能亢進症)、栄養不足でも低値を示します。
A/G比
血清中のアルブミンとグロブリンの総量の比であり、慢性炎症、多発性骨髄腫、自己免疫性疾患、悪液質、肝硬変、慢性肺炎、急性肺炎などで低値を示します。
LDH
細胞内で糖がエネルギーに変わるとき働く酵素で肝細胞、心筋、骨格筋、血球など全身のあらゆる細胞に含まれています。障害があると上昇します。
肝疾患、心臓疾患、血液疾患、悪性腫瘍などで高値を示します。
ALP
エネルギー代謝に係る酵素の一つでほとんど全ての臓器や組織に含まれています。特に胆道系の細胞におおく含まれています。
肝疾患、胆道疾患、骨疾患などで高値を示します。
総ビリルビン
肝障害や胆汁うっ滞時(胆汁の流れが減少または停止している状態)に増加し、黄疸の判別に有用です。
溶血(血液中の赤血球が崩壊してヘモグロビンが流出すること)でも高値になります。
アミラーゼ
アミラーゼは主に膵臓と唾液腺から排出される消化酵素です。急性・慢性膵炎など膵疾患、流行性耳下腺炎などで高値になります。
尿素窒素
腎臓機能を調べる代表的な項目です。腎臓の排泄機能が悪化すると高値になり腎障害がうたがわれます。
尿酸
尿酸は骨髄、筋肉、肝臓で作られた後、その大部分は腎臓でろ過されて尿中に排泄されます。
痛風の原因となる物質です。
クレアチニン
筋肉の運動やエネルギー消費に使用されたタンパク質の燃えカスとして腎臓でろ過され尿細管を経て排出されます。
尿素窒素とともに高値の時は、腎機能が低下しています。
筋肉の保有量などに比例するため、筋肉が萎縮する病気の診断にも使われます。
代謝・血糖検査
総コレステロール
高値の場合、糖尿病、動脈硬化、甲状腺機能低下症、脂肪肝、膵炎、ネフローゼ症候群などを疑うことができます。
低値の場合、貧血、栄養障害、甲状腺機能亢進症、肝疾患、悪液質などを疑うこと出来る。
HDL(善玉)コレステロール
血管の壁などに余計に付着しているコレステロールを回収する役割を持つコレステロールです。
値が小さい場合動脈硬化などのリスクが高まります。
LDLコレステロール
高値で狭心症や心筋梗塞、脳梗塞、大動脈瘤、抹消動脈硬化症などの疾患リスクが高まることが明らかとなっています。
中性脂肪
皮下脂肪の主成分で過剰な中性脂肪は肥満を生み、動脈硬化症、脂肪肝、高血圧、心臓病、糖尿病などの生活習慣病の要因となります。
血糖
糖尿病で高値を示します。通常一定の濃度に保たれていますが、それが超過してしまうと、膵臓からインスリンが分泌され血糖を下げようとします。インスリンの分泌量が不足してしまうと血糖が下がらなくなってしまいます。
HbA1c
過去1-2か月の血糖状態を表すので血糖値よりも正確な血糖状態を教えてくれます。